矯正歯科
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矯正歯科とは?
矯正歯科は、問題のある歯並びを改善することが目的です。
歯並びを改善することは、美しい歯並びを実現するだけでなく、個々人に適した噛み合わせや正しい歯列によって清掃性が高くなるため、口腔内管理がしやすくなることで予防もしやすいという観点でも非常に大切な治療となります。
矯正歯科に年齢は関係ありません。矯正歯科を検討されたその時が最適な時期と言えるので、まずはお気軽にご相談ください。
大人の矯正歯科のメリット・デメリット
成人してからでも、審美的に気になる部分を改善でき、叢生が強く口腔清掃が難しい部位を改善できることが、矯正治療のメリットです。しかし、歯周炎の症状が強く、歯周病の程度が進んでいたり、顎骨の骨量、幅径、骨密度などが劣っていたりすると、動的治療を施した後の歯の安定が悪かったり、歯の移動がスムーズに行えない場合があります。そのため、矯正治療におけるゴール設定を、事前によく相談して決める必要があります。
大人の矯正歯科の注意点
虫歯の治療が優先される。
矯正治療を開始すると、口腔内に装置を付けることになります。その結果、口腔清掃が難しくなり虫歯が発生しやすい口腔環境になります。矯正治療後に虫歯が多発・進行してしまった場合、矯正治療できれいに歯並びを整えたにも関わらず、抜歯が必要になることもあります。そのため、矯正治療の前に虫歯の治療を終了させておかなければなりません。
歯周炎の治療が優先される。
矯正歯科を開始すると、歯を支える骨(歯槽骨)が影響を受けます。歯周炎が進行していると、矯正治療を行なった後の歯の安定が悪く、歯の移動がスムーズに行えなくなります。その結果、矯正治療がうまく進まなくなります。そのため、矯正治療を始める前に歯周炎の治療を優先して行わなければなりません。
矯正治療を始める前には、必ず虫歯・歯周炎の治療を優先しますので、すぐに矯正治療が開始できない可能性があることは、十分に注意しなければなりません。
矯正治療が必要な症状と、矯正したほうが良い理由
叢生
叢生とは、歯がきれいに並んでいない状態のこと。乱ぐい歯(乱杭歯)とも呼ばれています。正中から三番目の犬歯(糸切り歯)が歯並びから飛び出ている八重歯も、叢生です。
叢生の原因
- 顎の骨格の大きさ、歯が並ぶ歯槽骨のアーチの大きさと歯の大きさがアンバランスなために歯が並びきれていない。顎骨の発育が不十分。
- 虫歯が原因で乳歯を早期に抜歯することになり、永久歯が生えてくるスペースを確保できずに永久歯が生え揃わなかった。
- 幼少期に指や舌を噛む悪癖があった。
叢生を治療せずに放置するリスク
上下の歯並びが揃わないことで、噛み合う歯の位置もずれてくる叢生を放置すると、食べ物をしっかり噛めなくなることがあります。
また、歯磨き・ブラッシングがしにくいため清掃性が悪くなり、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。口臭につながることもあります。歯を支える骨(歯槽骨)の幅径が薄くなってしまうことが多く、将来的に歯を失った際、インプラント治療が受けられないケースが多くなります。
また、歯列の大きな乱れにより、喪失した歯の前後の歯をつなげるブリッジによる治療も難しくなります。
叢生の治し方
叢生を治療するためには、顎骨・歯列弓に十分な大きさが必要です。叢生の方はその大きさが足りていない事が多く、顎骨を広げる治療や、抜歯によってスペースを確保することがあります。スペースを確保した後、歯を移動させて歯列を矯正していきます。
オープンバイト(開咬)
奥歯で咬んでも前歯が当たらない・重ならない状態、かみ合わせのことです。麺類など上下の前歯で噛み切れず、舌を使っている方がオープンバイト(開咬)です。
オープンバイト(開咬)の原因
子供のころの指しゃぶりや舌を押し出すなどの悪癖や、顎関節頭の変形により下顎枝が短くなることで、オープンバイト(開咬)になります。
オープンバイト(開咬)の治し方
歯の傾斜の改善で治療できる程度の場合、マルチブラケット装置やマウスピース型の矯正歯科装置で治療することがあります。舌癖でオープンバイト(開咬)になった場合、舌癖を改善するための筋機能訓練(MFT)も行います。骨格的な問題が原因であれば、顎変形症の治療として手術を併用し、かみ合わせを改善する治療を行います。
上顎前突
上顎前突とは、上の歯列が下の歯列よりも前に突出した状態です。いわゆる出っ歯は、上顎前突の一例です。
上顎前突の原因
指しゃぶりや爪を噛む癖、舌で前歯を内側から押してしまう癖、骨格性の問題が挙げられます。指しゃぶりをしていると、上下の顎骨の前後的な位置関係がずれたり、上顎の前歯が前方に傾いたりします。
永久歯に生え変わる時期まで指しゃぶりの癖が残っていると、上顎前突になるリスクが高くなります。無意識のうちに舌で前歯を触ってしまう癖があると、内側からの舌の力で、徐々に時間をかけて歯が移動し、上顎前突になります。また、生まれつき上顎の骨が大きい場合や下顎の骨が小さい場合は、顎骨の前後の位置関係により上顎前突になります。
上顎前突を治療せずに放置するリスク
口が閉じられないことにより口渇になり、唾液の分泌量が低下します。分泌量の減少により、唾液の抗菌作用が少なくなるため、細菌が増殖し虫歯や歯周炎リスクが高くなり、口臭発生の原因にもなります。
上顎前突の治し方
ヘッドギアを使用して上顎の成長を抑制し、骨格の前後的な位置を矯正します。また、顎の大きさや位置関係が原因ではなく、歯並びそのものが原因で上顎前突になっている場合、歯の移動による歯列矯正治療を行います。
受け口(反対咬合・下顎前突)
受け口(反対咬合・下顎前突)とは、噛み合わせが通常とは逆の位置関係になっていることで、下顎の歯が上顎の歯よりも前に出ている状態です。
受け口(反対咬合・下顎前突)の原因
受け口(反対咬合・下顎前突)の原因には、遺伝、噛むときに顎を前に突き出す、舌で下顎の前歯を押し出す、などの幼少期の悪癖が、長期的に続いてしまっていた場合などがあります。
受け口(反対咬合・下顎前突)の治し方
小児の場合は、取り外し式または固定式の装置を使用し、上顎の前歯を前に押し出し反対咬合を改善します。骨格的な成長のアンバランスがある場合は、下顎の成長を抑える装着や上顎の前方成長を誘導する装置を使用し、バランスを整えながら咬み合わせを改善します。
成人の場合は、基本的にはワイヤーを用いて上顎歯列を前に出し、下顎歯列を後ろに下げる治療になり、抜歯が必要になる場合もあります。歯列矯正治療だけでは改善しない場合や、骨格的なアンバランスの改善が必要な場合は、外科手術を併用した矯正治療が必要になります。
過蓋咬合
奥歯で咬んだ状態で、上顎の前歯が下顎の前歯を過剰に覆う状態が過蓋咬合です。ディープバイトとも言われます。
下顎の前歯が全く見えない、下顎の前歯が上顎の前歯の裏側の根元にあたるなどの状態により、顎の動きが制限され顎関節に痛みを生じたり、咬むたびに歯肉を咬みこんで歯肉炎・歯周炎に移行することがあります。
過蓋咬合の原因
子供の過蓋咬合は上顎骨に対して下顎骨の位置が後方に位置することが原因となります。また、乳歯の時に奥歯をむし歯などで早期に失った際に、咬合力により奥歯が沈みこみ、十分に成長しない場合などが原因として考えられます。
過蓋咬合の治し方
就寝時に使用するマウスピースタイプの装置を使用し、下顎骨の前方への成長を誘導し骨格的なバランスを整え、さらに奥歯を適切な位置まで成長させることにより、正常な前歯の重なり合う状態まで治療します。また、マルチブラケット装置を使用して、咬み合わせを浅くするため治療を行います。上顎骨の過成長や下顎骨の劣成長による骨格的な問題が原因であれば、外科的手術を併用することもあります。
空隙(すきっ歯)
空隙(すきっ歯)は、歯と歯の隙間が大きく開いている歯並びのことを指します。症状としては、食べ物が挟まりやすいことや歯の動揺、審美障害が挙げられます。また、空隙歯列により、歯周病などのリスクが高くなる場合があります。
空隙(すきっ歯)の原因
空隙(すきっ歯)の原因として、歯の本数が足りない、顎骨の中に過剰な歯が埋まっている、歯が萌えてきていない、歯肉にある小帯が長い、舌の悪癖、歯周病により歯が移動することなどが原因として挙げられます。
空隙(すきっ歯)の治し方
空隙(すきっ歯)の治療の基本は、まずは原因の特定から始めます。骨の中に過剰歯が埋まっている場合や、萌えるべき歯がまだ萌えてきていない場合、小帯が長い場合などは外科処置による原因除去療法が必要です。外科的に原因が除去出来たら、通常の矯正治療となります。また、歯周病が原因の場合は、優先して歯周病治療を行なったのちに歯列矯正治療を始めます。舌の悪習癖が原因の場合には、筋機能療法を行いながら矯正治療を行います。
矯正治療で使用する装置について
当院の矯正治療では、一般的な金属のブラケット、審美的に改良された白いセラミックのブラケット、治療期間短縮の見込めるセルフライゲーションブラケットを使用します。症例によっては、マウスピース矯正、歯面の裏側矯正も検討できます。
矯正歯科の年齢制限について
基本的に、歯周組織、顎骨に異常がなければ矯正の適応にはなり得ます。しかし一方で、全顎的な矯正治療を行う方は、30~40代ぐらいの年齢の方がほとんどかと思われます。それ以上の年齢の方になると、補綴治療が前提での前処置として矯正治療を行う方が多いと思われます。成人してからでも、審美的に気になる部分を改善出来たり、叢生が強く口腔清掃が難しい部位を改善できることが、矯正治療のメリットです。
しかし、歯周炎の症状が強く、歯周病の程度が進んでいたり、顎骨の骨量、幅径、骨密度などが劣っていたりすると、動的治療を施した後の歯の安定が悪かったり、歯の移動がスムーズに行えない場合があります。そのため、矯正治療におけるゴール設定を、事前によく相談して決める必要があります。